日本臨床外科学会雑誌
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症例
顎下腺病変の治療後に乳腺炎として再燃したIgG4関連疾患の1例
谷口 絵美稲石 貴弘河野 奨石榑 清
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2024 年 85 巻 4 号 p. 498-503

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抄録

Immunoglobulin(Ig)G4関連疾患は血清IgG4高値と,IgG4陽性形質細胞の浸潤および線維化により臓器に腫瘤や結節,肥厚性病変を生じる慢性炎症性疾患であり,乳腺に発症することは稀である.今回,顎下腺病変のIgG4関連疾患に対する治療後に乳腺炎として再燃した症例を経験した.症例は51歳,女性.当科を受診する2年6カ月前に両側顎下腺腫脹を認め,顎下腺生検の結果IgG4関連疾患と診断し,ステロイド治療を1年10カ月間行い症状は改善した.投薬終了から5カ月後に左乳房腫瘤を自覚して当科を受診した.乳房超音波検査で左CD領域に内部に血流を伴う小囊胞の集簇を認めた.悪性病変を考慮し針生検を行ったところ,リンパ球や形質細胞の高度な浸潤を認め,免疫染色ではIgG4/IgG比80~90%,IgG4陽性形質細胞10/HPFを超えており,IgG4関連乳腺炎と診断し,ステロイド治療を再開した.

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